院長こらむ:男性更年期障害って何?

最近、マスコミなどで、男性更年期障害という言葉を聞かれ、または読まれたことがあるでしょうか。これは、加齢に伴う身体的、精神的不調が、男性ホルモンの低下によるものであるという考えが、まず、欧米で提唱されたのを受けて、日本でも、これに、”男性更年期障害”と病名を付けて主張されだしたものです。すぐに追従するのが、日本の昔からの得意技です。更年期障害とは、今までは、女性特有のもので、わざわざ女性を付ける必要もありませんでした。女性は、閉経を境に、急激なホルモンの変化を生じますので、多くの方に、女性ホルモン欠落症状が現れるので、治療の対象になっていたわけです。これに対し、男性では、男性ホルモンの低下は、緩やかであるため、症状としては、軽微で、気づかなかったことも多かったと思われます。加齢とともに、男性に急激な変調がわかるのは、なんと言っても、勃起障害でしょう。これに対して、鮮烈なバイアグラ効果の登場で、内科的治療が注目されはじめたものと思います。その一方、加齢に伴ういろいろの症状を男性ホルモンの低下に結びつけ、男性ホルモンの補充療法がされるようになったのではないでしょうか。日本でも約5年前頃より”男性更年期専門外来”が設けられるようになりました。ただ、流行を追って、安易な男性ホルモン補充療法をされる診療所は避けるべきでしょう。以下に、日本泌尿器学会より出された、”加齢男性性機能低下症候群診療の手引き”より、症状および徴候を記しておきますので、参考にしてください。

 1)性欲と勃起能の質と頻度、とりわけ夜間睡眠時勃起の減退
 2)知的活動、認知力、見当識の低下および疲労感、抑うつ、短気などに伴う気分変調
 3)睡眠障害
 4)筋肉量と筋力低下による除脂肪体重の減少
 5)内臓脂肪の増加
 6)体毛と皮膚の変化
 7)骨減少症と骨粗鬆症に伴う骨塩量の低下と骨折のリスク増加
 血液検査で、男性ホルモン(テストステロン)の低下は必須。

 

当クリニックのマスコット犬(柴犬)です。毎朝、小生と一緒に出勤しています。