院長こらむ:前立腺のお話 その2

前立腺疾患の代表的な病気が、前立腺肥大症と前立腺癌です。ただ、誤解していただきたくないのは、前立腺肥大症を放っておくと癌になるわけではありません。前立腺肥大症と癌は、発生がそれぞれ別で、同時に両方が存在することもまれでなく、むしろ多いぐらいです。前立腺肥大症による排尿障害で受診され、その時、たまたま、癌が発見されることが間々あります。ここでは、まず、前立腺肥大症について述べてみます。
 前立腺肥大症とは、前回述べた、尿道に近い内腺の細胞が年とともに増えてきて、一つの肉の塊のように大きくなり、それが、前立腺の中央を貫く隣接の尿道を圧迫し、さまざまな排尿の症状を起こす病気です。内腺の肥大は、早い人で40歳代で起こり、年とともに頻度が多くなります。ほとんどの男性で内腺の細胞の過形成が起こると言われていますが、すべての男性が、肥大を起こすほどの過形成になるわけではありません。また、さらに、肥大の程度と排尿障害の程度が相関するかといえば、必ずしも、そうとは限りません。ものすごく大きな前立腺肥大があっても、おしっこは良く出て、まったく障害のない方も見られます。前立腺が大きくなり、いろいろの症状が現れて初めて”前立腺肥大症”と診断がつくわけです。
 それでは、なぜ、中年を過ぎてから前立腺肥大を起こすのでしょうか。昔からよく言われていたのが、年齢が進むにつれて、男性ホルモンの分泌が下がり、一方、相対的に女性ホルモンの割合が多くなった結果、ホルモンのバランスがくずれ、これが肥大を起こすという説です。しかし、いろいろと個人差があり、さらに、女性ホルモンを薬として飲むとかえって前立腺は小さくなります。俗説では、性活動の激しい人は肥大症に成りやすいとか、ペニスの大きい人は、肥大症が多いとか(手術をしていて、そう感じる時もあります)言われます。そうであれば、かえって、男性ホルモンが低下していない人に肥大が多いのかも知れません。いずれにしても、前立腺肥大症の原因は、よく分かっていないようです。
 最近は、画像診断装置の進歩で、前立腺の内部構造が鮮明に見られるようになっています。前立腺の内腺の腫瘤状に肥大した像や、尿道の圧迫具合もわかるようになりました。また、実際の数値で前立腺の大きさも表示しています。ただし、楕円体としての近似値です。前立腺肥大症の実際の症状や治療法については、別の機会とします。

湖東三山と並んで紅葉の名所として知られる永源寺です。参道は、朱色に染められ絶景です。 参道の横に青々とした愛知川が流れています。
見事な紅葉でした。  
世界文化遺産・比叡山延暦寺東塔です。靄に包まれ幻想的でした。信長の焼き討ちに会い、多数の犠牲者を出した山です。 参道の紅葉。