院長こらむ:腎臓のお話 その2

今回は、腎臓の働きまたは役割について述べてみたいと思います。
  腎臓の主な役割は、皆さんご存じのように、排泄臓器 であるということです。前回述べましたように、糸球体というところで、血液に含まれている代謝産物を水とともに濾過します。濾過された液(原尿)は、尿細管という管を通過する過程で、いろいろの極小さな物質(主にナトリウムやカリウムなどの電解質物質)が再吸収されたり、または、逆に分泌されたりし、最後に集合管というところで、水が再吸収され、尿として、排泄されます。これらの代謝産物の排泄とともに、もう一つの重要な機能は、水素イオン(H+)の排泄です。水素イオンは、液体のPH(酸性・アルカリ性を表すもの)を司る電解質です。中性(水)のPHは、7.0ですが、血液はややアルカリ性の7.4です。これより酸性に傾けば、腎臓より水素イオンの排泄が促されます。逆に、腎臓の機能が悪くなると、水素イオンの排泄が悪くなりますので、血液は酸性に傾きます。これを酸血症と言います。しかし、せいぜいPH7.2~7.3台で、けして酸性(PH7.0以下)ではありません。このような血液の酸性・アルカリ性の調節を行う臓器は、腎臓のほかに肺があります。中学生時代に習った、次の化学式を覚えておられますでしょうか?<H+ + HCO3- = CO2 + H2O>肺は、呼吸によってCO2を排泄します。もうお解りの方がおられると思いますが、呼吸を多くするとCO2がたくさん排泄されます。血液が酸性に傾きますと、つまり、水素イオンが溜まってきますと呼吸が速くなり(過呼吸)、CO2の排泄を促し、上の化学式は、右方へ進み、H+が処理されます。また、逆に、呼吸困難になると、CO2が溜まり、上の化学式は、左方へ進み、酸血症となります。このような働きを酸・塩基平衡と言います。
  また、腎臓は、血圧の調節や貧血の調節を行うホルモンの分泌や、骨の代謝調節などに関係するカルシウムやリンの調節も行う働きがあり、内分泌臓器でもあります。これについては、次回、述べたいと思います。

 

ジンベエザメ(美ら海水族館):ジンベエザメ科の海産軟骨魚。全長14mに達する魚類の最大種。巨大だが性質は穏やかで、主にプランクトン、アミ類や小魚などを食べる。 マンタ:イトマキエイ科の軟骨魚・オニイトマキエイ類の総称。美ら海水族館が世界で初めて飼育に成功したそうです。体盤長5m以上に達するものもある。全世界の熱帯海域に分布。(広辞苑より)