院長こらむ:精巣のお話 その4

 今回は、精巣を納めている陰嚢が腫れる病気について、簡単に述べてみます。
1)精巣腫瘍:男性の悪性腫瘍の約1%を占める比較的まれな病気です。15歳~35歳の青壮年期に好発します。若年者の悪性腫瘍ですから、手遅れにならないようにすることが大事です。時々は、自分の精巣を触ってみてください。精巣にしこりがあったり、左右大きさが違ったり、重く感じたら、直ちに泌尿器科へ受診しましょう。抗がん剤に効くものや放射線治療によく反応するものも多く、完治することもまれではありません。
2)陰嚢水腫:これは、どちら側かの陰嚢が張りを持って大きくなるものです。精巣は、正常でもわずかに滑液を容れた2層の膜で被われていますが、その膜の内側の細胞から滑液が異常分泌され貯まるものです。光を通すと透けて見えます。針を刺して液を抜くとすぐに小さくなりますが、しばらくすると、また液が貯まってきます。再発を繰り返す方には、膜を取り除く根治手術を勧めています。これと発生機序は同じですが、陰嚢より上の鼠径部に貯まるものを、精索水瘤と区別しています。また、部分的に光を通す腫瘤を認めることあり、針を刺すと白濁の液が出てくるものがあります。液の中に精子を多数認めます。これを精液瘤と言います。精路の一部が破れて貯まったものです。
3)精巣上体炎:精巣の横に付いている精巣上体(副睾丸)の一部に塊を触れます。急激に赤く腫れ、痛みがあり、発熱することがあります。これは、急性精巣上体炎です。直ちに抗生剤の治療が必要です。そのまま放置すると、膿が破れ出てくることがあり、場合によっては、精巣もろとも摘出手術をしなければなりません。前立腺炎が先行することが多いです。それほど発熱せず、若者に見られたら、性病の一つのクラミジア感染によるものを考え、クラミジアに効く薬を使います。最近は、クラミジアですが、昔(小生が医者になったころ、それ以前)は、原因菌は、結核菌でした。
4)精巣炎:精巣が急激に腫大し、発熱・疼痛を伴います。代表的なものが、おたふくかぜ(ムンプス)にかかった後に起こります。治療は、解熱・安静以外になく、嵐が過ぎるのを待つのみです。
5)精索捻転:思春期になる少し前ごろ(精巣が重たくなったころ)、突然、陰嚢が赤く腫れ、固くなり、痛みを来すものに、精索捻転があります。精巣に血液を供給している動静脈と精管の束を精索と呼んでいます。これが、精巣の急激な運動により、180°以上に捻じれたときに発生します。日ごろから、精巣がよく上下する人(移動性精巣)は気を付けましょう。発生してから、4~5時間以内に緊急手術で捻じれを解き、血流を良くしないと、精巣がダメになってしまいます。
 北の国 (長野・志賀高原は、雪の中です。3/3)  南の国 (九州は、紅梅・白梅の花が咲き乱れています。3/10)