院長こらむ:アンチエイジングのお話 その20

前回、長寿遺伝子サーチュインについて述べましたが、もう一つ、アンチエイジングと結びつく遺伝子が注目?されています。
2017年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象となった時計遺伝子です。
サーカディアンリズム(概日リズム:体内時計)を生み出す遺伝子とそのメカニズムを発見したホール博士、ロスバシュ博士、ヤング博士の3氏に授与されました。

地球は、24時間で自転し、この24時間周期の光環境の変動を生体内に取り入れ、概日リズムという自律的なリズムを獲得した生命体のみが地球上で生き残ったと考えられています。
3人の研究は、この獲得された1日のリズムを遺伝子レベルで解き明かしたものです。
概日リズムと生活リズムが狂うと、うつ病などの精神神経疾患や、癌、生活習慣病(糖尿病、心筋梗塞など)のリスクが高まるとみられています。
睡眠も概日リズムと密接な関係があり、このリズムの狂いが睡眠障害となり、様々な病気を憎悪させます。
この概日リズムは、午前中に交感神経の活動性を高め、心拍数や血圧を上げ、さらに血液凝固能も午前中に亢進するため、心筋梗塞は朝方に発症しやすいと言われています。

また、抗癌剤に対する癌細胞や骨髄細胞の感受性や、吸収、代謝、排泄スピードなどには日内変動があることがわかっています。これも時間遺伝子が関わっているそうです。
これを理解して、薬が効きやすい時間帯や副作用の少ない時間帯を選んで薬を与えれば、より効率的な治療、言い換えれば、テーラーメイド医療につながると期待されています。
すべての細胞に時間遺伝子が存在するといわれ、この時間遺伝子の解明が進めば、その活動位相に合わせて活動することにより、病気の発症を予防することも夢ではありません。

梅雨真っ直中の6月ですが、幸運にも、6月2日の平治岳(ひいじだけ:九州山地・九重連山)登山は、快晴で、素晴らしいミヤマキリシマの絨毯でした。
また、6月23・24日は、尾道(広島県)から今治(愛媛県)までの瀬戸内海を縦断する’しまなみ海道’をサイクリングしてきました。
これも出発は小雨でしたが、すぐに雨は上がり、曇りとなり、翌日は晴れと、天候に恵まれ、素晴らしい瀬戸内海の景色を楽しめました。ただ、おしりが痛いのには閉口しました。

平治岳のミヤマキリシマ
 しまなみ海道
(尾道~今治)サイクリングロード 約70Km