院長こらむ : アンチエイジングのお話 その23

メラトニンは、脳内の松果体から夜のみに分泌され、体内の既日リズムのもとになっています。このメラトニンの分泌は、日内では、ブルーライトによって抑制され、また年齢とともに分泌は低下することも知られています。

メラトニンは、睡眠の調節だけでなく、抗酸化作用や、生体抗酸化酵素の活性促進作用、内臓の脂肪蓄積を抑制する作用、エネルギーバランスの調節などの生理作用が知られています。これらの種々の生理作用から、糖尿病、高血圧、動脈硬化、骨粗鬆症、アルツハイマー型認知症などとの関連性が研究されています。

メラトニンの生理的作用で、抗酸化作用は重要な働きと思われます。酸化ストレスはいろいろな病気の引き金となります。アンチエイジングにとって重要な病気は、発ガン、アルツハイマー型認知症などの脳の老化、急性心筋梗塞などの虚血疾患が酸化ストレスと関連しています。年齢とともにメラトニン分泌は低下し、さらに、夜間のパソコンやスマートフォンから発するブルーライトによって分泌はさらに抑制されます。これからお解りのように、酸化ストレスの被爆を和らげるためには、抗酸化作用をもつメラトニン分泌増加のため、とくに高齢者にとって、十分かつ良質な睡眠をとることが重要になります。

また、糖尿病におけるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくく、高血糖を来す)は、以前述べたように、脂肪の蓄積によって大きく影響を受けることがわかっています。メラトニンの脂肪蓄積抑制作用は、インスリン感受性を回復し、糖尿病の改善および予防が期待されています。逆に言えば、メラトニン分泌障害は、肥満になりやすく、さらに進めば2型糖尿病を引き起こしやすくなります。不規則な生活パターンが糖尿病に関連するのもうなずけると思います。さらに、脂質代謝異常は、高血圧、動脈硬化とも結びつきます。このように、規則正しい生活、十分かつ良質な睡眠を保ち、メラトニン分泌を維持することは、アンチエイジングにとって重要な要素です。欧米では、時差ぼけ用に、メラトニンがサプリメントとして販売されています。日本では、睡眠薬として、メラトニン受容体(働く場所)に作動し、メラトニンと同じような作用をする薬(ラメルテオン:商品名ロゼレム)が出されています。小生も、メラトニン作用を期待して服用しています。

 

平成最後の週末、10連休のはじめの4月27日、28日に島原半島一週のサイクリングツアーに行ってきました。一日目は、熊本港からフェリーで島原港に渡り、原城温泉までの25Kmをゆっくりレンタルロードバイクの馴らし運転となりました。二日目は、残り78Kmを走破しました。下図のように、高低差100m以上もある激坂は、追い越し禁止の一車線道路で、走行車も多く、きつく、緊張した走りとなりました。下り坂は、50Km/hを越えていたようです。

 

島原港から原城温泉までの25Kmの記録(GPS)です。 原城温泉から78Kmの走行記録です。最高時速50Kmを越えたところもありました。高低差100m以上の登りの厳しさには、参りました。
島原の乱の終結場所となった原城跡には、天草四郎(本名:益田四郎時貞)の墓碑が設置されていました。最近、長崎・天草の隠れキリシタンに関連した場所の一つとして、この原城跡は世界遺産に指定されました。 両側を緑の木々に囲まれ、”緑のトンネル”と呼ばれている鉄道廃線跡が、人気のサイクルロードとなっています。