院長こらむ:腎臓のお話 その1

大切、または重要なことを肝腎または肝心と言いますが、これは、肝臓と心臓と腎臓が人体に大事なところであることから、この言葉が成り立っています。その腎臓のことを述べたいと思います。
 まず、腎臓の在る場所は、下写真1 に示すように、背骨と第12肋骨(一番下の肋骨)に囲まれた背中側に在ります。尿管結石のときの腰痛の部位がこの場所です。痛みの起こる機序は、尿管の尿の流れが結石により停滞し、腎臓が腫れ、腎被膜の神経が刺激されて痛みが起こります。写真のように、腎臓は左右にあり、上下の長さは、体格により、少し差がありますが、だいたい10-12cm程度で、一つの重さは120g程度です。
写真2 は、腎臓の縦断面です。腎乳頭より尿が排泄され、杯の形をし、漏斗状になっている腎杯で尿を集め、腎盂という袋状になったところより、細い管(尿管)に流れ出ます。
腎臓の主な機能は、排泄機能です。飲食により摂られた食物は、体内で代謝され、その代謝産物は、腎臓と肝臓から排泄されます。腎臓からの排泄は、濾過(水とともに、ある大きさ以下の小さい物質を濾す作用)です。その基本構造(最小単位)をネフロン(写真3)と言います。一つの腎臓内に、100-150万個存在します。濾過機能を行うところを糸球体と言います。顕微鏡で見ますと、細血管の集まりが糸巻き状に見えるからこの名前が付いています。細血管内の血圧を利用して、細血管壁に空いた小さな穴で濾過します。赤血球や蛋白はこの穴を通過できません。水は、筒抜けです。両側の腎臓で、血液から濾過液として1分間に100ml程度を処理(糸球体濾過率)しています。24時間で144000ml程度となります。しかし、実際には、尿として排泄されるのは1000-1500ml程度です。つまり、水の99%近くが腎臓の中で再吸収されているわけです。

1:両側の腎臓と背骨(脊椎)と肋骨の位置関係を示します。体の外から診る場合、背面の背骨と第12肋骨(一番下の肋骨)で作られる角度内が目安となります。以下3枚の写真は、日本医師会雑誌第136巻より無断転載しました。 2:腎臓の縦断面写真です。
3:腎臓のネフロンという最小機能単位の模型図です。片方の腎臓の中に、この最小構造物が100-150万個含まれています。 ハイビスカス:南国の代表的な花です。
ブーゲンビレア:南米産の花で、派手な紅色は葉っぱで、中の小さな白色が花です。 沖縄のサンセット