院長こらむ:腎臓のお話 その3

今回は、腎臓と高血圧の関係について述べてみたいと思います。
 血圧は、血管内を流れる血液量と血管の抵抗(血管壁の伸び縮みの柔軟性)により決定されます。腎臓は、水とナトリウムの排泄を調節し、血液循環量の維持を行っています。腎臓が悪くなりますと、水とナトリウムが体内に貯留し、循環血液量が多くなり、高血圧に傾きます。さらに、腎臓は、内分泌臓器として、血圧を調節しています。腎臓に流れる血液量が減少しますと、前に述べました糸球体という濾過装置に流れ込む毛細血管の傍にある監視装置が血流量減少を関知し、レニンという物質を分泌します。レニンはアンギオテンシンという物質を活性化し、血管を収縮させ、血圧を上げます。この作用は、出血や脱水などで循環血液量が急激に減少し、血圧が下がったときの人体の防御機構で、特に脳に血液を送るのに役に立ちます。ところが、病的に腎動脈が狭くなりますと、レニンーアンギオテンシン系が働き、高血圧になり、治療が必要です。これを腎血管性高血圧症と言います。全高血圧症の約5%を占めます。この高血圧は、外科的手術やカテーテル(管)で治せる高血圧です。
 一方、腎臓は高血圧の原因となるだけでなく、高血圧が長期続いていますと、そのために障害を受ける標的臓器でもあります。高血圧が長く続きますと、腎動脈の抹消の細い動脈(小葉間動脈・輸入細動脈)が硬く狭くなって血液の流れが悪くなります。これにより、腎臓の障害が起こり、腎臓は硬く、小さくなっていきます。これを腎硬化症と言います。最終的には、腎不全を起こし、透析が必要になります。高血圧だけでなく、加齢によってもこの病変が促進されます。最近の高齢化社会では、高齢者で血液透析を始められる方の原因疾患のうち、この腎硬化症が多くなっているようです。

都忘れ 睡蓮