院長こらむ:腎臓のお話 その4

今回は、腎臓と貧血の関係について述べてみたいと思います。
 まず、皆さんは、貧血という言葉をよく聞かれるし、また使われているのでないでしょうか。ひょっとしたら、貧血を病名と思っておられるかもしれませんが、これは、病名ではありません。貧血は、ヘモグロビン(鉄を含む色素と蛋白質が結合した化合物。血液の中で酸素を運ぶ役割をする。)が減少した病態を表す用語です。最もありふれた血液検査異常ですが、その原因には、よく見られる単純な鉄欠乏から、致命的になるような白血病まで含まれています。いずれにしても、貧血が生じますと、これを是正しようとする働き(ホメオスターシス)が腎臓で起こります。腎臓が内分泌臓器として、エリスロポエチンという物質を分泌します。このエリスロポエチンが、骨髄に働いて、造血作用を促すわけです。なお、腎機能の低下に伴って生じる貧血で、他に貧血の原因が認められないものを腎性貧血と呼んでいます。腎臓の病気で、このエリスロポエチンを分泌する機能が低下しますと、貧血が起こっても自ら貧血を是正することが出来にくくなり、貧血が進行します。血液透析が必要となる慢性腎不全末期では、多くの方が高度の貧血になっておられます。
 最近では、このヒトエリスロポエチンを遺伝子組み換えで作れるようになり、造血剤として製品化されています。ちなみに、このエリスロポエチンを貧血患者さんの尿から発見された方は、日本人の三宅博士(熊大出身)という方です。この造血剤が使用可能となり、透析患者さんの貧血が飛躍的に改善し、活動能力も向上し、さらに長生きをされるようになりました。

国宝瑠璃光寺五重塔(山口市):あまり知られていないかもしれませんが、なかなかのものです。学生時代に時々クラブの仲間と訪れていました。その仲間との”アラ還の会”の翌日、撮ってきました。 我が家に咲いた野牡丹です。朝日をあびて、紅紫色の五弁花を開いています。アジア南部・オーストラリアに広く分布するノボタン科の常緑低木。