院長こらむ:副腎のお話 その3

 今回は、副腎の代表的な病気について述べてみたいと思います。副腎には副腎皮質(外側の層)と副腎髄質(内層)が区別されると、前回説明いたしました。副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気があります。1932年、Cushingが、満月様顔貌、肥満があり、高血圧を合併する患者さんの大多数に脳下垂体(脳の下にある突起)に腫瘍があることを発見しました。その後、糖質コルチコイド(副腎皮質ホルモン)が過剰に分泌されて生じる症状が、クッシングが発表した症状と同じであることから、満月様顔貌、体幹の肥満、高血圧の他、皮膚線条(皮下のひびわれ)、多毛、筋力低下などを示す病態をクッシング症候群と呼ぶようになりました。これに含まれる疾患は、下垂体腺腫(クッシング病)、両側副腎皮質過形成(副腎皮質刺激ホルモン過剰)、副腎皮質結節性過形成、副腎皮質腺腫、副腎皮質癌があります。腺腫、癌は摘出手術の適応となります。
  副腎髄質の代表的な病気は、褐色細胞腫です。副腎髄質より分泌されるカテコールアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン)が過剰分泌され、高血圧になります。高血圧は、突発性高血圧と言って、突然200mmHg以上の重篤な高血圧になる人が半分近くいると言われています。その他、高血圧に伴う頭痛、異常な汗、高血糖、代謝亢進が知られています。治療は、摘出手術です。手術中の管理がやや複雑になりますが、これは、麻酔科が対応してくれます。まず、安全に手術可能です。
山口大学内にある大賀ハス(秦保博氏撮影)