院長こらむ:アンチエイジングの話 その1

 アンチエイジング(抗加齢)を考える前に、まず、老化とは何かを調べてみました。これを知ることにより、その予防がアンチエイジングに繋がると思います。老化の原因には、いろいろの説があります。
1)細胞分裂の限界: それぞれの細胞には、分裂できる限界があり、分裂できなくなって老化が起こるという説です。それに重要な役割をはたすのが、テロメアと言われています。テロメアは、遺伝情報を担っている染色体の末端にあり、細胞分裂の祭、遺伝情報を正しくコピーして受け渡す働きをしています。これは、分裂するたびに短くなっていき、ある程度まで短くなると分裂をやめ自壊すると言われています。このように、細胞分裂ができなくなれば当然細胞の活性は失われ、結果としてこれが老化現象となります。
2)DNA損傷説: DNAという遺伝情報が書き込まれた物質があります。生命の設計図です。このDNAを受け渡すことにより、同じ性質を持った細胞がつくられます。DNAの損傷は、次に述べる活性酸素や紫外線などの刺激により起こるととされています。DNAの損傷は、1日あたり最大50万個程度発生することが知られており、若いときは充分に修復可能であったものが、加齢に伴う修復速度の低下や、環境変化による損傷増大で修復が追いつかなくなり、細胞分裂停止や細胞死が起こり、老化現象に繋がるという説です。
3)活性酸素説: 酸素は生命活動に必要なエネルギーを生み出す際に体内に取り込まれますが、過剰な酸素や代謝(エネルギーを作り出す反応)に伴い発生するのが活性酸素となり、細胞を酸化させます。いわゆる細胞をサビつかせます。サビついた細胞は、正常な働きが出来なくなり、老化現象に繋がるという説です。活性酸素は上記のテロメア損傷・DNA損傷の原因にも成り得ます。この活性酸素がアンチエイジングを考える上で重要となります。活性酸素発生の主な原因は毎日の生活習慣とも関係しています。たとえば、紫外線に当たること、いろんなストレス、喫煙、脂質や種々の添加物の多い食生活などが考えられています。
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第14回日本抗加齢医学会総会(6/7、大阪)に出席