院長こらむ:アンチエイジングのお話 その5

前回は、老化に、酸化ストレスが関与している可能性について述べました。逆に、アンチエイジングには、この酸化ストレスをいかに防御するか(抗酸化)が重要であることがお解りと思います。酸化ストレスに対する体の中での抗酸化の働きには、三段階が考えられています。 まず、第一段階は、体の外から影響を受ける因子(紫外線、放射線、大気汚染、喫煙、薬など)と体の中から生じる因子(ストレス、種々の炎症、血流障害など)により生じた活性酸素を消し去ることです。これには、体内にあるスーパーオキシド不均化酵素やカタラーゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素や、金属安定化タンパクが考えられています。まだ、確証はないようです。難しく詳細は理解できませんが、これらの酵素を活性化することがアンチエイジングに繋がります。それより、紫外線や喫煙や大気汚染や過激な運動を避け、活性酸素を誘導させないことがたやすくできるアンチエイジングではないでしょうか。
第二段階が活性酸素やフリーラジカルを捕捉する物質(抗酸化物質)です。これには、ビタミンC、グルタチオン、ビタミンEが重要と言われています。ビタミンCとグルタチオンは、水に溶けた状態(水溶性)で働き、ビタミンEは脂肪に溶けた状態(脂溶性)で働きます。わかりやすく言うと、水溶性のものは細胞内や血液内で働き、脂溶性のものは、細胞膜で働きます。これらを多く含む食べ物が抗酸化食品と言われる物です。また、加工されたものがサプリメントとして売られています。しかし、サプリメントとして、摂取したからと言って、すべて体内で抗酸化を起こすわけではありません。
抗酸化物質を多く含む食品を提示します。
ビタミンC(アスコルビン酸):柑橘類、野菜(ブロッコリー、小松菜など)    ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール):植物油、カボチャ、ほうれん草、アーモンドなど    ポリフェノール(レスベラトロール、フラボノイド):茶、コーヒー、豆、オリーブオイル、チョコレート、シナモン、オレガノ、赤ワインなど   カロテノイド:リコピン(トマト、スイカ)ルテイン(ほうれん草、トウモロコシ、ブロッコリー)カプサイシン(赤ピーマン、赤トウガラシ)
果物や野菜などには、多種類の抗酸化物質が含まれていますが、生体内で相互に関連しあって作用しますので、多く食べるほど良いと言うのではなく、バランスよく摂ることが大切です。特定のサプリメントを多く摂るのも好ましくありません。
第三段階は、生じた酸化による障害を修復、再生する抗酸化物質で、ホスホリパーゼ、プロテアーゼ、DNA修復酵素、トランスフェラーゼが知られています。詳細は、まだ勉強不足でわかりません。また、動物実験より、カロリー制限と適度な運動が内因性抗酸化防御機構を誘導し、長生きすることがわかってきました。われわれにできることは、まず、過激な運動、喫煙、大気汚染、紫外線などを避け、過食せず、むしろカロリー制限をして、ストレスをため込まず、抗酸化食品をバランスよく摂ることでしょう。

今年の暮れは、大雪に見舞われています。いつか行った小樽は、こういう雪景色でしょう。 冬山は、もっと雪深くなっているかもしれません。