院長こらむ:アンチエイジングのお話 その16

前回、カロリー制限が長寿に役立つと述べましたが、それでは、カロリー過剰がもたらす肥満は、実際に健康を害しているのでしょうか。今回は、肥満について調べてみました。

一般に、肥満とは、概ね標準体重より20%以上体重が増えた状態を言いますが、正確には、BMIを用いて判定しています。

BMI:Body Mass Index とは、体重(Kg)を身長(m)で二回割って算出したものです。

たとえば、身長160cm、体重60Kgの人のBMIは、60/1.6x1.6=23.4 となります。
日本肥満学会の基準(2011年)では、

普通体重(標準体重):BMI18.5以上25未満とし、
18.5未満:低体重(やせ型)
25以上30未満:肥満1度
30以上35未満:肥満2度
35以上40未満:肥満3度
40以上:肥満4度に分類しています。

しかし、これは単なる身長と体重から計算したものだから、あくまでも大体の目安と思った方がいいと思います。
皮下脂肪型肥満なのか、内臓脂肪過多なのか、筋肉量過多の体重増なのか判定はできません。
これに加えて、体脂肪率を併用するとより肥満を正確に把握されることとなります。これも簡易の体重計でなく、CTやMRIから測定するとより正確となります。適正な体脂肪率は、男性で15~19%、女性で20~25%と言われています。
肥満は、糖尿病、高血圧、動脈硬化症、高脂血症などの生活習慣病や数多くの病気の危険因子と言われています。

たとえば、2型糖尿病は、糖分の過剰摂取により、膵臓からインスリンが過剰分泌され、これが長く続くと、インスリン分泌の障害(枯渇?)され、高血糖症となり起こるとされています。
さらに、肥満は、肥大した脂肪細胞から遊離した脂肪酸が複雑な過程(省略)を経てインスリンの働きであるグルコースの細胞内取り込みを障害(インスリン抵抗性)します。
これが、肥満による糖尿病への直接関与です。

このように、カロリーの過剰摂取は、インスリン分泌障害だけでなく、インスリン抵抗性ももたらすわけです。

高血圧肥満の関係は、主なものとして、次の二つが分かっています。
1)肥大した脂肪細胞からレプチンが過剰分泌され、これにより、交感神経刺激が亢進し、血管収縮がおこり、血圧が上昇します。
2)血圧上昇のもととなるアンジオテンシノーゲンは、主に肝臓で産生されますが、肥大した脂肪細胞からも産生、分泌されることが分かっています。アンジオテンシノーゲンは、アンジオテンシンⅡとなり、副腎皮質へ作用してアルドステロンの分泌を亢進し、腎臓でナトリウム再吸収を促進して体内(おもに血管内)に水過剰(血液量増大)となり、血圧上昇を起こします(レニン・アンギオテンシン系活性化)。

このように、肥満は、ただ太っているというだけでなく、体にいろいろな影響を及ぼすこととなります。以後、肥満について述べていく予定です。

夏休暇は、毎年、夏山登山(主に日本アルプス)をしてきましたが、今年は、3家族で、長野・岐阜(松本・上高地・新穂高ロープウェイ)を楽しんできました。生憎の雨模様で、スケジュールの変更を余儀なくされた旅でした。雨の隙間をみて撮った写真です。

国宝・松本城 雲海の向こうに白山を望む(新穂高ロープウェイ・西穂高駅より)
双六岳~西鎌尾根~槍ヶ岳:H15年、このルートを縦走したのを思い出しながら眺めました。 西穂高岳から槍ヶ岳へ。
笠ヶ岳:北アルプスの末端に位置します。円空上人が開山したと言われています。 おなじみの上高地・かっぱ橋から望んだ穂高連峰