新型コロナウィルス感染陽性者を経験して

4月18日、午後9時ごろ、当院透析スタッフから新型コロナウィルスに感染したとの報告を受けました。日曜日の夜でしたが、直ちに所轄保健所に連絡を取り、すぐに当院に通院している透析患者様と当院スタッフ全員、百数十名のPCR検査を行いました。残念ながら一人の透析患者様が陽性と出ました。その結果を受けて、近くの基幹病院感染症スタッフにきていただき、感染症対策の指導を受けるとともに、陽性者と同じ時間帯の透析患者様全員と陽性者の送迎車運転手二人にPCR再検査を行いました。幸いに全員陰性でした。スタッフ陽性者の濃厚接触者はいませんでしたが、透析患者陽性者と同じ送迎車の同乗者三人と運転手二人、さらに、別の日に陽性者と同じベッドを使用した二人が濃厚接触者となりました。新型コロナウィルス感染陽性者は二人とも無症状でしたが、糖尿病の持病のある透析患者様はハイリスクのため基幹病院コロナ病棟へ入院、スタッフも別の病院へ入院しました。濃厚接触者の透析は、他の患者様と接触しない別枠の時間帯で、以後の透析を2週間行うことにしました。さらに運転手二人も2週間自宅待機となりました。2週間を経過しました現在、陽性者は二人とも無症状のまま経過され、無事退院されています。また、その他のすべての透析患者様およびスタッフに何事もなく、ほっとしています。念のため、外来も自主的に2週間は半閉鎖状態、つまり、新規患者様はお断りし、予約患者様には、電話でコロナ患者が出たことをお話しし、薬が必要な方には処方だけにしました。大変な2週間でした。

このコロナ騒ぎに際しまず驚いたのは、ネット社会での情報伝達の速さです。さらに不確かな情報の拡散です。4月18日午後9時ごろ聞いたことが、翌日朝9時過ぎにはあるSNSに、<匿名>で当院にコロナ患者が出たと載っていたそうです。本人(スタッフ)の周辺および検査結果を知りうる機関以外には知らない情報です。さらに、同じ翌日、当院スタッフにコロナ陽性者が出たことを文書で配布しているとき、一人の患者様が「ある公的機関の裏情報で、昨夜知っていました」と。<え!これ個人情報漏洩でないの?>・・・。数日すると、当院に6名のコロナ患者が出たとSNSへ書き込みがあったと聞かされました。これって、濃厚接触者までコロナ患者となってしまったのでしょうか。それに加え、2週間の自宅待機をされている運転手さんが、近所ではコロナ患者と噂されているとのことです。

熊本県のホームページの新型コロナウィルス感染者発生状況の冒頭に次のことが書かれています。<県民の皆様におかれましては、感染された方、ご家族、職場の方、その他関係者の方々に対し、不確かな情報に基づいた、不適切な扱いや、いやがらせ、SNS等での誹謗・中傷等をしないようにおねがいいたします。

最近のネット環境の発展に伴い、ある面では格段の便利さと情報収集能力の向上には驚きですが、不確かな情報の拡散も起こりやすく、それを信じ込み、誹謗、中傷、いじめなどへ繋がり、社会問題となりつつあります。今回、その怖さを実感しました。いろんなことがありましたが、患者様からの不確かな情報(ある公的機関の裏情報で・・・)をこのブログに載せている私も、同じ穴のムジナとなっています。お許しください。

吉野桜(和歌山県)

紅葉で有名な永観堂(京都)の新緑