院長こらむ:腎臓のお話 その5

血液の中には、いろんな電解質物質が溶け込んでいます。電解質とは、水などの溶媒に溶かしたとき、陽イオンと陰イオンとに解離し、その溶液が電気を導くようになる物質(広辞苑より)を言います。たとえば、食塩は、血液の中では、Na+(ナトリウムイオン)とCl-(塩素イオン)に分かれているわけです。血液の中に溶け込んでいる陽イオンで最も多いのが、ナトリウムイオンです。その他に、カリウムイオン、カルシウムイオン、が主なものです。微量ながら、マグネシウムイオン、銅イオン、鉄イオンなども含まれます。陰イオンの主なものは、塩素イオンです。他にリン酸イオン、重炭酸イオンなども含まれます。
 腎臓は、これらの電解質物質を、排泄・再吸収しながら、人体の恒常性を保っています。たとえば、ナトリウム(食塩)を過剰摂取しますと、それだけ腎臓はナトリウムを排泄するように過剰に働きます。それが長く続きますと、排泄が間に合わなくなり、体内(血液内)に残ってしまいます。血液の中は、ナトリウムイオン濃度を正常に保とうと働きますので、水を血液の中に留めます。すると、血液量が多くなり、血圧が高くなります。また、これが長く続きますと、血管も硬くなり、後戻りが出来なくなってしまいます。これが、高血圧の方が塩分制限が必要な理由の一つです。また、腎臓の尿細管というところで、ナトリウムの再吸収を阻害する薬があります。この薬を服用しますと、腎臓でナトリウムの再吸収が阻害され、多量のナトリウムが排泄されます。それに伴って水も排泄されますので、尿量が多くなります。その結果、総血液量も減少しますので血圧も下がります。これが降圧利尿剤です。
 の摂りすぎは、害を及ぼすことがありますが、哺乳動物にとって、塩は無くてはならないものです。塩がなかなか摂れない環境に住んでいる動物が土を食べている映像を見られたことがありますでしょうか。岩塩を含んだ土を食べているところです。動物は本能的に塩の必要性を知っています。動物が体内の恒常性を保つには、ナトリウムが必要なのです。
 その源は、?でしょうか。